Re:意味を求めて


  西暦21XX年、発達したコンピュータ技術は遂に人の人格を電子空間に移送させる機構 『仮想イメージ活動システム』、通称『V.I.P.システム』を完成させた。


  当初、このシステムはゲーム産業にしか浸透していなかった。 しかし、その水面下で国家レベルの代理戦争に利用されていた。 そして、その代理戦争にはまだ年端もいかない少年少女が起用された。 ただ、ゲーム感覚に、ただ、目標をクリアしていく。何の罪悪感も抱かずに敵を打ち倒していく。


  しかし、彼等は知らされていなかった。 システムとの互換をフルにするために外されているリミッター。 それはマシンの性能を上げると同時にあるリスクを背負っていた。 極限までリアルになったバーチャルはその死までもリアルに再現した。


  そう、バーチャルでの死は現実での“死”をも意味していた。 脳はバーチャルの死の衝撃に耐えられず発作的に死を引き起こす。まさに突然死(サドンデス)の世界。



戦わなければ生き残れない。

敗北は死を意味する。

はたして、その真実を知ったとき、彼等はその引き金を引けるのだろうか……

written by hukaba