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2003年9月〜
思い出
橋の上から川を覗く
綺麗に澄んだ川の深みは
アオ
恐いぐらいにアオ
綺麗に澄んだ海の深みも
アオ
足のすくむようなアオ
そこは、深いのにずっと下まで見える
底は見えないのに、ずっとずっと下まで見える
引き込まれるような
どこまでも落ちていくような
アオ
あの日に
久しぶりに訪れた
あの日雨に沈んだ町は
すっかりと様相を異にしていた
あんなにしつこく残っていた
泥も消え
生け垣も緑を取り戻した
もう、あの日は
記憶の中にしか
残っていない
風
風が強い
窓の外を風が勢い良く流れていく
海を、遥か沖を目指して
そう、空に穴が開いたから
空気が雪崩ていくから
風が疾る
その時、どこかの空では
空気が吹き降ろし
風が生まれる
還って来る
巡り巡る風
いまもまた
私の横を駆けて行った
夕月
空に月が上った
それはそれは細い月が
夕暮れの薄青の空に
細く白く
そう、まるで
誰かがつうとひっかいて
そこだけ青を剥がしたような
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