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CROSS


私たちが背負っているものはとても重たい。
そして背負ったまま一生という無限の道を行く。
それは課せられた業。


人は感情を持って、それを意識して生きていくことを選んで人になった。
そこからすべてが始まった、喜びも、悲しみも。


私たちは心を持つことで、みなが心を持つことで、喜びを分け合えるうれしさを知った。
違う考えを持つことで、傷つけあう悲しみを知った。
悲しみは心を殺す。人を殺すと。


幾千と時を重ね人は世代を重ねてきた、どんなに憎しみあって、悲しんで傷つきあって、
互いで互いを滅ぼそうと続けてきた。なのに、なのに私たちは今ここにいる。
ヒトは滅びることなく、絶望することなく生き続けてる。
これは、奇跡。




でも、必然。
どんなことがあったって、人には心がある、支えあえる。
だから、生きてる。


悲しいことは二人なら半分、
三人なら三等分、
みんななら・・・。ほら。


楽しいことは二人で二倍、
三人で三倍、
みんなみんなで・・・。


どんなに憎しみあってても、いつかは人は気づく、分かり合う、哀しみを。
どんな人同士でも、きっとわかる、笑顔と悲しみは。


人には心があるから。


これが、私たちの背負う十字架。
とても重たいもの、一生背負い続けるもの。


どんなに投げ出したくなっても、投げ出せない。
だって、それが人だから。


投げ出したらどうなるの。
それはもう、人じゃなくて、生きてもなくて、死んでもいない。


written by...:月影


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