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U 法案提出に至る経緯等

1 司法制度改革審議会

  司法制度改革審議会(以下「改革審」という)は, 2年近い審議を経て平成13年6月12日にまとめた意見書の中で,


「刑事訴訟事件の一部を対象に,広く一般の国民が,裁判官と共に, 責任を分担しつつ協働し,裁判内容の決定に主体的,実質的に関与することができる新たな制度」


いわゆる裁判員制度の導入を提言した。裁判員制度の導入は,同意見書において, 司法制度改革の三本柱の1つである「国民的基盤の確立(国民の司法参加)」の中核をなすものと 位置付けられている。

  諸外国では,犯罪事実の認定については裁判官の評決権を認めず,陪審員のみによって これを行う陪審制度(主に英米法系諸国)や, 裁判官と参審員が1つの合議体を形成して裁判を行う参審制度(主に大陸法系諸国)が採用されている。 改革者の議論の過程では,諸外国の陪審制度や参審制度をも参考にし, それぞれの制度に対して指摘されている種々の点を吟味した上で,特定の国の制度にとらわれることなく, 我が国にふさわしいあるべき国民参加の形態を検討した結果,裁判員制度の導入が提言されたものである。

2 司法制度改革推進本部

  改革審意見書を受けて制定された司法制度改革推進法により, 平成13年12月,司法制度改革の推進に必要な法律案の立案等のために内閣に司法制度改革推進本部が設置され, 裁判員制度の導入や刑事裁判の充実・迅速化のための法案の立案の作業についても, 同本部において進められることとなった。

  同本部事務局においては,裁判員制度・刑事検討会 (座長:井上正仁東京大学教授)を設けるなどして,立案作業を進めてきたところである。

  同検討会は,学者,実務家及び有識者合計11人によって構成され, 平成14年2月から本年1月まで計31回の会合を開き,意見書の提言を制度として具体化するべく, 綿密な議論・検討を精力的に行った。平成14年末の第10回会合までは, 新たな制度の大きな骨組みに関わると考えられる論点についての検討を行い, その結果を踏まえ,平成15年から,事務局が作成した議論のためのたたき台を素材として, より細かな論点も含め2巡目の検討を行った。さらに,昨年10月に開催された第28回検討会からは, それまでの検討会での議論を踏まえて井上座長がまとめた,考えられる制度の概要の一例 (いわゆる「座長ペーパー」。)を素材とし,2巡目で議論があった点を中心に更に検討を行った。

  事務局は,検討会における検討結果とともに, 4回にわたって行った意見募集の結果等を踏まえ,本年1月に裁判員制度の骨格案を公表し, 本法案の今国会提出に至ったものである。




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