学校の階段!?

父(前編)

12

その時だった。


「見せてやろうかの?2人の間に起こった全てを」


雅は本を開きながらそう言った。


「えっ、そんな事出来るの?!」

「わしを誰だと思うておる、950歳の神霊者じゃぞ?」


そして、手にしていた本をばばーん!!と見せる。


「これは『大神霊鏡絵巻』と言って、過去に起きた全ての事柄が言魂という 特殊な霊によって記されておる。これに向かって神霊者が術をかければ、 おぬし達の知りたい出来事が見えるというわけじゃ」

「こんなものがあったんだぁ…」


ちなみに五寸釘神社にも蔵の中にたくさん本があるが、 このように霊力で力を発動させるものはない。健も初めて見るものだ。


「さ、じゃあ術をかけてやるかの」


そう言うと、雅は本にスッと手をかざした。本から七色の光が放射線状に放たれ、 いきなり表紙がめくれた。


「健、達樹、本のページに手をかざせぃ!!」

雅の声に、健と達樹は顔を見合わせ頷き、そっと手をかざす。 七色の光はやがて白い光へと変わり、健と達樹の体を纏った。


「さぁ、何を知りたいか叫べ!!」

「…父さんと…白井さんに何があったか知りたい!!」


健の叫びに呼応するように、光は強くなった。そして…。


「…う…うわっ?!!な、な、何だ!?????」

「本に…吸い込まれ…る…?!!!」


そう、健と達樹は光を放つ本の中に体が吸い込まれていった。 しばらくして、二人の姿は綺麗さっぱりなくなっていた。


「さて、と…」


久しぶりに呪文を使った雅は肩をトントンと叩いて、手の上にある本を見た。


「これでいいんじゃろ?優秋…」


フッと懐かしそうに微笑む雅、それに反応するように本は蛍のように光った。


「ま、あとは息子とその親友に任せぃ。何とかなるじゃろて」


雅は独り言のようにそう本に呟いて、また笑った。




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