学校の階段!?
父(前編)
11
一方。
「…げほっ…ごほっ……あ〜、びっくりしたぁ…」
健が首絞まりからやっと開放され、新鮮な酸素を補給していた。
「ったく、桜儚ったら足が見えるようになってから首の絞まりが更に激しくなった気がするよ〜…」
さて、と健は先程の放心状態から開放され、お膳を運び終えて達樹の所へ戻った。
「おぉ、健♪遅かったではないか〜」
雅は健が結構お気に入りのようで、健を見つけると本を床に置いて笑顔で出迎えた。
「ごめんね雅さん、ちょっと…考え事…」
「優秋の事かの?」
健はぴくりとした。同時に、蔵の中で本の整理をしていた達樹も手が止まった。
「…あはは〜、凄いな雅さんは〜……どうして…分かっちゃうのかな…」
初め苦笑いのように笑っていた健は急に悲しい顔に変わった。
「歳の功、じゃな。で、何があった?」
雅の問いに健はゆっくりと答え始めた。白井が優秋と知り合いだったこと、
それを今日初めて知ったこと、そして…優秋を殺したと白井が言ったこと。
「お、おい…じゃあ夢に出てきた人って…!!」
達樹は自分が見た夢を思い出した。あの印を結んだ男が…白井?
「達樹…夢って?」
「あ、健にまだ言ってなかったな…」
「どうやら達樹は優秋の死に行く場面の夢を見たらしいのぅ…
霊感ゼロのこやつに誰がそうさせたか、は…分からんがの」
雅は何かを知っているような顔つきで笑った。
「そんな夢見たの…?」
「あぁ、さっきジジィ…いや、老師に聞いた印の結び方はこの夢で見たんだ。
白井さん…だと思う人が、結んでた…」
「じゃあ、白井さんは本当の事を言ったんだ…」
健も達樹も信じられないといった表情だった。健は白井に聞きたい事がたくさん出来てしまった。
「白井さん、どうして父さんを…」
「2人の間に何かあったとしか考えられねぇな…」
序章へ戻る
トップへ戻る