学校の階段!?

父(前編)

10

『けーんっ!!』


  渡り廊下をお膳を持って歩く健を、中庭の掃除をしていた桜儚が見つけて呼び止めた。 しかし、健はぼ〜っと前を見てふらふら去っていった。


『ちょ、ちょっとぉ!!…もう、何なのよアイツ!!』

「オウナ、あんまり怒ると血圧上がるぞ?」


同じく中庭の掃除をしている撫子がクスクス笑いながら言う。


『…何よ?何かおかしいかしら?』


桜儚はふてくされ顔だ。


「いやいや…すまない、オウナは本当にケンが好きなんだなぁ…と思って…」

『なっ……!!!!!』


桜儚は赤面しながら否定した。


『何言ってんのよっ!!わ、私がアイツの事…?!!』

「ほら、すぐ真っ赤になる…可愛いな、オウナ」

『アホ言ってんじゃないわよぉぉっっ!!!!!』


「★◎□ζё〒ξ?!!!!」

同時刻、健の首が最強に絞まった。

『まったく…いくら自分がラブラブだからって…』

「な、何を言うか?!!!」


今度は撫子が赤面だ。


『…撫子?』


急に桜儚があらたまった顔になった。


「どうした?」

『…私に…幽霊に人間を好きになる権利なんかあるのかしら?』

「…オウナ…でも、オウナが成仏しなければずっと…」


桜儚は首を横に振った。


『…近づいてるの…』

「?何がだ?」

『私が…“消える”日が…』


撫子は箒を落とした。




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