学校の階段!?

第2章  用務員は凄い人

 その日、五寸健は珍しく寝坊した。
彼が珍しく眼鏡を割らずに探し当て、珍しく生あくびをしながら階段を降りていくと、 台所から壮大に皿を割る音が聞こえてきた。

「ど、ど〜したの〜?!」

「は、ははは…いや〜、慣れない事はするもんじゃねぇな〜…はは…」

健が辿り着くと、そこには彼の幼馴染兼親友がぺたりと床に座っていた。
手には何故かフライ返しがある。

「達樹、怪我無い?大丈夫?」

健はそそくさと欠片を拾い終えると、立てない親友に言った。

「お〜…何とかな〜…」

親友、山梨達樹は苦笑いした。…と、次の瞬間。

「あーっ!!鍋!!フライパン!!火ぃかけっぱなし!!」

彼は盛大に叫んだ。そして、大火事になって焼け落ちる五寸釘神社を想像した。

「あ〜、ごめんよ健〜!!俺のせいで…」

「達樹、泣かないでよ〜。さっき火事になる前に僕が止めておいたから…」

敗退した甲子園球児のように泣く達樹を健はなだめた。
その日の五寸家の朝食は、白いご飯のみだった。






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