学校の階段!?

第3章  桜儚の思い出

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  「…ったく、何なんだよあの馬鹿両親は!!」

やっと口を開いたのは達樹だった。

「…達樹…駄目だよ、ご両親の事悪く言っちゃ…」

「あんなの良いんだよ!!どうせいつも仕事で、俺はいらねぇ子…」

「達樹!!」

珍しい健の怒鳴り声を聞いて、達樹はビックリした。

「…あ…ごめん…ごめんね、達樹…僕が…『不幸を呼ぶ子』だから…」

健の目からは、いつの間にか雫が零れ落ちていた。

「健、それは関係ないだろ?両親は俺の受験で…」

「…違う…違うよ…僕のせいで…皆……」

もう健は泣く事で精一杯だった。

「健…もう寝よ?な?」

健が頷くのを確認し、達樹は健の手を引いて2階に上がった。
健は何も言わずに部屋に入った。


  「…達樹は知らないんだ…。」

ぽつりと呟いた健は、すぐ眠りに落ちていった。




また夢を見た。

だが、今日健を呼ぶ声はいつもの声じゃなかった。


「健…っていうのか?」


聞き覚えのある声だった。


「俺、今日ここに引っ越してきたんだ。よろしくな!!」


そう言って手を差し出したのは、小さな達樹だった。

しかし、やがてそれはいつもの場面となる…。




「達樹ぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!」


  いつもよりうなされた気がして健は目覚めた。
同じ頃、客間の写真立てがパタリと倒れた。






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