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学校の階段!?

第5章 安息、そして…。

  月日はあっという間に巡っていった。

健と達樹は毎日用務員室に顔を出し、坂下とお茶を飲みながら桜儚(おうな)も交えて話をしたりしていた。

「なぁ、健。桜儚(おうな)さんの恨んでる相手探さなくていいのか?」

達樹は読者も作者も気になっている事を突っ込んだ。

「う〜…それがね…。」

健は苦笑いをして桜儚を見た。
桜儚は…もう怒っても無駄だという顔をした。

『健の今の霊力じゃ、探し出せないのよ。』

「…はい?」

達樹にはさっぱりぴ〜まんである(死語かな、これ)。

「えっと…僕ね、霊力が落ちちゃったんだ。」

健があはは〜と苦笑いしながら説明し始めた。

「霊がとり憑くと霊力が落ちるものなんだけど、僕の場合その落ちるスピードが速くて…。今、桜儚が憑いてるのだけで精一杯なんだ〜。」

そういえば、最近の健はお祓いの相談が来ても断ってたな…と達樹は思った。

『そ、だから私は坂下のお札が貼ってない場所にはほとんどいられない訳。』

桜儚は『休霊地』の札にもたれかかって言った。
それが分かったのは前回健に触れた時だ、と桜儚は付け加えた。

「その後坂下さんに確かめて貰って判明したんだ〜。」

『笑ってる場合じゃないでしょ!!!』

桜儚は健の首を増加した怨霊パワーで一気に絞めた。
健はもう少しで母親に会えそうな所まで逝った。

「まぁ、そ〜ゆ〜訳じゃ。」

坂下は微笑みながら、新茶をすすった。

「でも…大丈夫なのか?健の霊力上げないで。」

達樹は生き返ってむせる健の背をさすりながら尋ねた。

「心配するな。この部屋には特殊な霊術がかけてあってな、この部屋の霊力負荷に耐える事で自然と霊力が上がるようになっとるんじゃよ。」

坂下もやる時はちゃんとやる。
前に学校中を探し回って、桜儚はようやく憎むべき相手がこの学校内にはいない事に気付いた(遅い)。だから、健と外に出て探すしか方法はないのだ。

『ま、こ〜ゆ〜期間があってもいいでしょ。』

桜儚はやれやれ、といった表情で座布団の上に腰を下ろした。

「先輩…。」

『ん?何よ?』

「最近、まるっこくなりましたね、人柄。」

『そぉ?』

坂下は確信した。

「やはり…健君にしか先輩は憑けんよ…。」

達樹とかるかんを取り合う眼鏡の青年には、それは聞こえなかった。


(注:『かるかん』を知らない方へ・・・鹿児島の名物土産です。実は作者も食べたことない。)






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