目次 > 真川流実 > 学校の階段 > 第6章

学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

1

  真夜中、緑ヶ丘町―――。

電線に、一人の人間が腰を下ろしていた。

「お前、絶対感電するって!!」というツッコミも多いだろうが、その人間は正確には「電線に腰を下ろしている」のではない。

「電線に腰を下ろしたように見える」のだ。


  周りには、カラス達がぎゃぁぎゃぁ鳴きながら舞っていた。

そのうち、一羽のカラスが人間めがけて飛んできた。

「ご苦労様、ピエール。」

人間はそっと腕を伸ばした。ピエール(♂)はその腕に止まった。

そして、何やら騒がしく鳴いた後、人間はにやりと笑った。

「…そう、分かったよ。もうお眠り。」

そう言って、人間はピエールの首筋を撫でる。

すると、ピエールはカラスから1枚の札へと変わった。

「おや…もう日が昇る。」

人間は東を見た。もうそこまで太陽は出掛かっている。

「さて、もう行かなきゃ。」

ひとりごつと、人間はふわりと宙に浮き、そのまま太陽を背にして消えた。







序章へ戻る
トップへ戻る