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学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

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  その頃、用務員室では――。


『ちょっと、坂下!!いい加減出しなさいよっっ!!!』

『気』を封じ込められた桜儚が暴れん坊将軍していた。

「先輩、油断しないで下さいよ。『気』は封じ込めてあるとはいっても、『奴』に先輩の声が聞こえてるかもしれませんから。」

警告しながら坂下は優雅〜にお茶をすすっている。
『気』を封じ込められた霊の声は相当高位な神霊者しか聞こえないのだ。

『大丈夫よ、もしもの時はアンタが守ってくれんでしょ!!』

物凄いらぶり〜な笑顔で言うような台詞ではない。
坂下は笑いながら急に真面目な顔になった。

「しかし…」

『?何よ?』

そう言いつつ、坂下は湯のみを置いて空を見た。
雲行きが怪しくなってきた。

「…先輩、少し表を見てきますね。」

坂下は通用口から外へ出た。


それが、桜儚が見た坂下の最後の姿だった。



「…ふふふ。」

大羽高校上空に人がいた。その人は、やはり宙に浮いていた。

「もうすぐ…もうすぐだ。」

多くのカラスがその周りをぐるぐると飛び回っていた。
人は高らかに笑うと、その場からスッと消えた。


「待っていろ、神霊者…。」

その呟きと共に―――。







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