学校の階段!?

第8章 衣替えと栗羊羹

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  朝が来た。いつもと変わらない朝がいつもと同じように過ぎていく。

「うわ〜、早くしないと電車間に合わないよぉ〜!!」

薄いピンク色のエプロンを外しながら階段を駆け上がるのは五寸健。

「おい、健!!自転車玄関前につけとくからな!!」

二人分の鞄と弁当箱を持って健と階段をすれ違って降りて行くのは山梨達樹。
健はありがと〜と言いながら、ふと止まって達樹の方を振り返った。

「達樹〜、ど〜して学生服着てないの〜?」
「ば〜ろぉ(馬鹿野郎の意)、カレンダー見てみろ。」

達樹はそう言い残して、玄関の扉を荒々しく閉めた。
健はとりあえず自分の部屋に置いてある日めくりカレンダーを見た。

「えっと、今日は6月15日……あ〜!!」

健はポンッと手を叩くと、笑顔で部屋を後にした。
カレンダーの日付の下には、健の字で『衣替え』と書いてあった。




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