学校の階段!?

第8章 衣替えと栗羊羹

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  教室に入ると、中が真っ白になっていた。
男子は黒い学生服から半袖のカッターシャツになり、女子のセーラー服も紺から白になる。

「…夏だねぇ…。」

健が呟くと、達樹がそうだな、と笑った。

「Good morning(おはよう)、タツキ。ケン。」

二人の後ろにはいつの間にか夏服姿の撫子が立っていた。
「おう。」「おはよ〜。」と二人はいつものように挨拶をした。

  撫子が黒魔術師だと分かってから2週間が過ぎた。
あの事件以来撫子は「明るいイケイケ娘」の演技を止め、「クールなお姉様」として生活している。
そして、この三人は気付けば一緒にいるようになった。

「お、お前も夏服なんだな。」
「当たり前だろう…私だってここの生徒になったんだから。」

苦笑いをして撫子は答えた。

「そ〜だよ、達樹〜。撫子さん似合ってるじゃない〜。」

健がそう言うと、達樹はふ〜んと言って席に足を進めた。


「あ、タツ…」
「…似合ってるぞ、夏服。」

  すれ違い様に達樹は撫子の耳元で呟いた。
撫子は顔を真っ赤にして、そそくさ席に戻った。
健だけ頭の上に「?」をいっぱい並べていた。




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