学校の階段!?
見える桜儚
3
「おぉ、二人ともすまんな。」
クーラーの効いた用務員室に坂下がステテコ姿でいた。
ここにいないと、田舎で畑耕してそうな爺さんに見える。
「ど〜したんですか?出発は明日でしたよね?」
そう、遂に皆で大羽神宮に行く日が明日に迫っていたのだ。
「うむ、そうなのだが…実はちと別件でな。」
「「え?」」
二人は最終確認の為に呼ばれたのだとばかり思っていた。
「…そういえば、今日桜儚の姿を一回も見てないんですけど…」
健は辺りを見渡した。この部屋にも少女はいない。いつもここにある桜色の『気』も感じられない。
「桜儚、どうかしたんですか…?」
健は急に彼女が心配になった。いつもと違う用務員室の『気』を敏感に感じ取っていたせいもあった。
すると坂下は「うむぅ、それが…」と言ったきり、腕組みして黙りこくってしまった。
「まさか……」
『何が「まさか」よ、失礼な。』
いつもの高い声に健も達樹も撫子もびっくりして振り返った。
いつもの桜色の『気』を振りまきながら、三つ編み美少女がそこにいた。
「桜儚?!!!」
「オウナ…」
いつも通り桜儚が見える健と撫子は微妙なリアクションをした。
『何よ、私がいちゃ悪いの?!』
いつも通り怨霊ぱわーで健の首をギリギリと絞める。
「お……お〜な……ぐるぢ……」
そんな中、いつも通りじゃねぇ人が一人いた。
彼はぽっか〜んと口を開けて桜儚を見ている。
「タツキ、どうしたのだ?」
「…あれ、誰デスカ?」
ちょっぴり喋りが片言であるが、気にしてはいけない。
「…あれというと…」
撫子は達樹の視線を目で追ってみた。何度追っても、やっぱり桜儚だ。
「あれはオウナだ。」
当たり前だろう、という顔で撫子は言う。
「え?!!達樹、桜儚が見えるの?!!」
しかし、これにエクトプラズム出し中の健はたまげた。
「そうか、タツキは見えなかったのか」と撫子は冷静に感心していた。
ニコニコしながら坂下はそれを見ていた。
序章へ戻る
トップへ戻る