学校の階段!?
見える桜儚
5
「「「ごちそ〜さまでしたっっ!!!」」」
健・達樹・撫子は手を合わせた。あれから坂下がいろいろ作るから、三人でひたすら食べまくったのだ。
坂下は三人にデザートを出し終わってから、今四品目を食べている。
「坂下さんも料理うまいんだな〜っ!!」
達樹は大好物のひじきが出たので満足だった。
「そうか、健君も確か料理上手だったんじゃな」
健は「えへへ…」と照れながらデザートの洋ナシゼリーを食べている。
「ケンは嫁に行けるな」
撫子は三人分の皿を下げながら言った。
「え?!だ、誰の?」
「勿論、オウナに決まっておろうが」
『私は嫁なんていらないわよっ!!』
今日の桜儚は特別怨霊ぱわ〜を使いまくっている。健の首が何度絞まった事か。
「まぁまぁ、先輩。いいじゃないですか」
坂下も全品食べ終わった。楊枝でし〜は〜している。
「あの、坂下さん…」
健が急にあらたまった表情で坂下の方を向いた。
坂下も楊枝をし〜は〜する手を止めた。
撫子も達樹も場の雰囲気が変わった事に少し驚いた。
桜儚は、全てを理解していた。
『私の体から霊気が減少してるんでしょ?』
「桜儚…気付いてたの?」
桜儚が「あったりまえよ」と言う代わりにため息をついた。
「でも、おかしくないか?」
達樹が口をはさんだ。
「霊気が減少してるんなら、何で俺に姿が見えるようになったんだ?
普通って強い霊気がある幽霊ほど見えやすいんじゃないのか?」
「本当は違うんだ〜。霊気の強い幽霊っていうのは桜儚みたいに意思があって、
現世の人間には見えないように霊気で結界みたいなものを作るんだ。
だから霊力の無い人には見えないってわけ」
「しかし、オウナは今結界が張れないほど霊気が落ちているという事だ」
桜儚は『休霊地』の札にもたれたまま、自分の手のひらをじっと見つめていた。
(このままじゃ…私は……)
「だがな、霊気が落ちておるからといって先輩が消えるわけではない」
坂下の言葉にその場にいた全員が「え?!」と驚いた。
「本当じゃよ」
坂下はいつものニコニコ顔に戻った。
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