学校の階段!?

見える桜儚

6


「幽霊は霊気が落ちる時期もある、しかし霊気が充満している場所で静養すれば、直に霊気も戻る。 何せわしや健や撫子だけの霊気では不十分だからな」
「それで、桜儚を大羽神宮へ連れて行くことにしたのか…」

坂下は頷いた。

『な〜んだ、心配して損しちゃったわ』

桜儚はやれやれと『休霊地』の札から飛んで離れようとした…が。

『きゃあっ!!』
「へ?!う、うわあぁぁぁぁぁ!!!」

どさっっ!!

  健の上に桜儚が体ごと乗っかるという体制になっちまった。
健の顔はトマト並みに真っ赤で、心臓飛び出ちゃう以上の心拍数になっていた。

(お、お、お、おおおおおおおお桜儚の体が…僕と…密着……!!!!!)

桜儚の体はあったかいし、柔らかいしで健も鼻血噴射寸前……ん?

「…オウナ、透けてないぞ?」

それに初めて気付いたのは撫子だった。確かに、健が桜儚の体温を感じるのだから、透けてはいない。

『…あれ?』

桜儚は健の上から起き上がると、自分の足元を見てビックリした。

『あぁ―――――っっっ!!!足が戻ってるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!』

そう、いつも先端が消えかかっていた桜儚の足はしっかり足の形をしていた。

「…どういう事だ、オウナは幽霊なのに生身の人間に戻りかけている…」
「わしにも原因は分からぬが、おそらく…」
「“おそらく”?サカシタさん、何か知っているのか?」
「…“時”は来たようじゃ…」

撫子はもっと追求しようとして、ドキッとした。 坂下の横顔は今までに見たことがないくらいこわばっていた。

「なぁ、結局桜儚さんは生きてる人と同じになっちまったのか?」

達樹はトマト顔で倒れている健をつつきながら尋ねた。

「…え?あ、そ、そのようだな…」

撫子は達樹の声でハッと我に返った。

「これで仮簡解脱をしなくて済みますよ、先輩」
『あら、そうなの?』
「?“カカンゲダツ”?」

  坂下にまだ仮簡解脱の解説を聞いていなかった撫子は訳が分からなかった。
そんな撫子に坂下は「何でもないよ」と笑いながら手を横に振った。



そんな時だった。

「…あ、あれ〜?僕…」

嬉し恥ずかしで卒倒していた健が生き返ったのは。




前ページ<=>次ページ



序章へ戻る
トップへ戻る