学校の階段!?

見える桜儚

8

  夜、五寸宅にて。

「明日から楽しみだねぇ〜♪」

  健と達樹は1階のリビングで荷造りをしていた。 達樹のは宮下ハナに持って来て貰ったトランク、健のは顕彰のお古の…風呂敷である。

「それで足りるのか?トランクまだあるから貸すぞ?」

達樹が歯磨きセットをポーチに詰めている。容姿端麗な達樹がやっていると、何か可愛い。

「大丈夫だよ〜、向こうで洗濯するから〜♪」

そう言って、健は風呂敷に包む物を全て確認し終えた。そこには翡翠の首飾りがあった。

「…健、それ…」
「桜儚に…渡さなくちゃね。“想い人”とお揃いのお守り…」

健は無理やり笑顔を作った。達樹には痛いほどそれが分かった。

「…桜儚さん、早く目的の男が見つかるといいな」
「…うん」

今度の健は本当の笑顔だった。達樹は少し安心して、健の荷物を見渡して見た…と。

「健…大事な物を持って行くのは分かるけどな…」
「ん?な〜に?」

達樹は健の肩に手を置いてため息ひとつ。

「“天下の包丁6点セット”を持って行くなぁっ!!!」
「えぇ〜っ?!だってぇ〜!!」
「だってじゃねぇっ!!」
「達樹のケチぃ〜…」
「ケチは関係ねぇっ!!!!」

そんなこんなで夜は更けていった。




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