学校の階段!?

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「アーノルド家は代々聖アーノルド学園というイギリスでも有数の学校を持つ由緒ある家柄で、 シュパイヤー家も代々『除霊者』の血を受け継ぐ家柄なんだ。
  しかし、モロゾフお爺様は日本で巫女をしていたヨネお婆様と結婚し、お爺様のお父様…まぁ、 私の曾お爺様だな…から勘当を言われかけた。

『純粋な除霊者の血に汚らわしい神道の血を混ぜると子供から霊力がなくなる』

というのが当時の言い伝えだった。
  しかし、お父様はその言い伝えを完全否定した。 お父様は完全にお爺様の血を色濃く受け継いだ。だからお爺様は私もそうだと思ったのだろう。
  しかし、私はお婆様の血を色濃く受け継いでしまった。 お爺様もお父様もそれに気付いていたのだろうな。 私の術の先生はお婆様だった。しかし、誰も私の血の事を教えてくれなかった。
  だから私は勝手に勘違いしていた…“私は『除霊者』なのだ”と…」

『…撫子…』

「すまない、つまらない話になってしまったな…」


  少ししんみりした空気が漂った。桜儚はふと、アーノルド家が写る写真に目を止めた。 伯母一家の中に一人、気になる人物がいた。彼は他の皆と同じ金髪ではない。少し赤茶けた髪だ。 年齢的には撫子より少し上だろう。


『…この人、撫子の従兄弟よね?』


  桜儚は聞いてはいけない事だったと直感的に感じた。撫子の顔は少し悲しそうだった。


「…あぁ、伯母様の長男で聖アーノルド学園次期理事長の…」


その時だった。

  一羽のカラスがいきなり部屋に舞い込んできた。 そして、そのカラスは緑色の光に包まれ形をアメーバのように変え始めた。


『ちょ、ちょっと…!!!』

「これは、黒魔術特有の人獣変化?!!」






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