学校の階段!?

もう、戻れない・・・。

13



「それはどうでしょうか?」

  健の笑みも負けてはいない。


『・・・どういう事じゃ?』


  サタンにはその笑顔が非常に気に障るものだった。そう思った瞬間、 サタンの足元から恐ろしい勢いで白い触手のようなものが何百本という単位で湧き出てきた。


『何っ?!!』


  余りの触手の伸びる速さにサタンは身動きも出来ない。

  彼はあっという間にがんじがらめにされてしまった。


「これは力のある人ほど出てくる触手の数が多く、捕らえる力も大きいんです。 そして、その触手には貴方の意識を一時的に浄化させる効果がある」


  健は上着の袖を縛りながら言った。


『おのれっ、放せ!!・・・えぇい、放さぬかっっ!!!』

「もがけばもがくほど触手が絡まる・・・黒魔術でもこういう術はあるでしょう?」

『くそっ、この気高く美しい予が・・・こんな儒子に捕らわれるなど・・・!!』

「愚行、か?それは違うな」


  撫子が口を挟んだ。


「お前はケンを侮りすぎた。だからバリアが自分の足元まで及ばなかった。 違うか?これは貴様が自分で招いた結果だ。・・・えぇっと・・・」

「自業自得、だよ♪撫子さん♪」

「おぉ、そう使うのか!!」


  撫子は日本語能力が1向上した・・・ってそんな事はどうでもいい。

  サタンは相変わらず何とか触手を取ろうともがいていた。

  しかし、そんな動作にも次第に鈍さが見えてきた。


『くそ…体が重い・・・ではない・・・か…』

「あ、効き始めたみたい♪」

『予が・・・こんな低レベルな術に・・・・・・・・・』


  それきり、サタンの耳障りな声はやんだ。その代わり、次にその肉体が発した声は・・・。


「…ん…っ…ここは?」


  元の持ち主であるテムズの声だった。





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