学校の階段!?
もう、戻れない・・・。
15
「撫子さん…」
健は涙を流す撫子を見ていることしか出来なかった。
撫子はしばらく泣いた後、グッと涙を拭った。
「ケン…私は、私は戦うぞ。テムズの命を…無駄にせぬためにも」
健はその時の撫子の瞳を今でも忘れない。まっすぐに、全てを見つめる美しい瞳だった。
健は頷いた。
『…おのれ…愚劣なる人間どもよ…』
その時だった。サタンが眠りから覚めたようだ。
『よくも…よくもこの予をぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!!!』
バチィィィィィッッッ!!!!!
その凄まじい電撃音と共に、触手もバリアも全てが消え去った。
『許せぬ、貴様らだけは許せぬぞ!!!この予が直々にあの世へ送ってくれるわ!!』
怒りに燃えたサタンの目は、血の色に染まっていた。健と撫子は顔を見合わせる。
最終確認だ。2人は同時に頷いた。
「はっっ!!」
撫子の札が四方八方に飛び散る。
「神炎!!」
そこに健の術が重なり、サタンへと飛び散る。
『ふっ、無駄な事を…』
赤い目のサタンはそれらをいとも簡単に跳ね返す。
しかし、その落ちた札の間から光速で矢が飛んできて、サタンの胸を貫いた。
『?!…何じゃ、ただの矢…ぐふぉぁっ!!』
サタンがその矢に触れた瞬間、彼は思いっきり吐血した。
「やったぞ、ケン!!」
弓を持った撫子が言った。健はそれに続いて、何やら少し長い呪文を唱える。
「今、この者に憑きし穢れし御霊、その住処へ誘わん…
そして、肉体と精神に永久の安泰と安らぎを・・・・・・」
『なっ、何事じゃ?!あ、あ、頭がぁぁぁぁぁぁっっ!!!』
突然サタンは頭を抱えて苦しみ出した。
『おのれぇ、小童・・・っ…次に予が現れる時は…その時は貴様を…殺す為だけに現れよう…ぞ
………あ…あぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』
「奥義!!祷苦滅!!!」
健の背後から凄まじい7色の光が放たれたかと思うと、
サタンの肉体にその光が矢のように細くなって次々と突き刺さっていった。
サタンは悲鳴をあげるばかりだった。そして、その肉体から赤黒い羽と角が消え、
元のテムズの命も尽きようとする頃、撫子は崩れ落ちるテムズが笑ってこう言ったような気がした。
「テムズ……ありがとう…私を許してくれて…」
そして、撫子の目から再び雫が零れ落ちた。
倒れたテムズの肉体は7色の光に包まれながら静かに解体していき、 光が消えると全てなくなっていた。
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