学校の階段!?
もう、戻れない・・・。
4
そして、テムズは“あの日”の話を始めた。
イギリス、アーノルド家。
「爺さん!!今の話は本当なのか?!」
テムズは祖父・フランクに向かって叫んだ。
「声を荒げるな、テムズ。本当だ。モニカは留学生として日本へ行く」
フランクは回転式の立派な椅子を子供のようにクルクル回しながらパイプを吸っていた。
下あごに蓄えられた立派な髭がその威厳を物語る。
「どうして?!モニカは聖アーノルドを卒業したら僕の下で働いて、
ゆくゆくは結婚するんじゃないの?!」
「落ち着け。モニカはこのアーノルド家の一員でもあり、
シュパイヤー家の時期当主になるかもしれん子でもある。
シュパイヤーの血の方を濃く受け継いだあの子には、優先すべき事があるのだよ」
フランクはテムズの目をしっかり見据えて言った。しかし、テムズは納得がいかない。
(どうして…どうして、僕とモニカが離れなければいけない?!
僕とモニカは赤い糸で繋がっているのに!!)
そう思った彼は、無言のまま理事長室を出て行った。
そして、向かう先は…聖アーノルドがあるロンドンから3時間かかる、シュパイヤー家本家だ。
「そこで、僕は君の使命を知った。“日本にいるdirty phantomを除霊する”って使命をね」
撫子は黙っていた…しかし、顔色は悪い。“シュパイヤー”という名前を聞いただけなのだが。
それは、自分の家族の実力を知っているからこそだ。そして、今彼女はその家族を裏切ったという
事実を切実に受け止めている。
「そして、日本に来てみたら…どうだい?
君の獲物(ターゲット)はまだこの世にいて、君も一緒にいる」
「違うっ、オウナはもう獲物ではない!!私の友人だ!!」
撫子の反論にテムズは彼女の腕をつかみ、グイッと彼女を抱き寄せた。
「テムズ!!何を…」
「だから、僕は決めたんだ。モニカをね、ロンドンに連れて帰る。
そして、約束どおり僕はモニカと結婚するんだ」
「何っ?!!」
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