学校の階段!?

もう、戻れない・・・。

7

「…桜儚〜、二人の『気』が強いよぅ〜!!」


  健は鼻水と涙でグチャグチャな顔をして桜儚にすがりついた。桜儚は呆れ顔だ。


『…ったく…アンタら、い〜かげんに…』

「いい加減にしろぉぉぉっっっ!!!!!」


  桜儚の怒りの一声はテムズの叫びで一掃された。彼は先程とはまるで別人のようだ。


「モニカ…その男は君にとって何なの?僕よりも大事な男?」


  テムズは何がなんだか分からないような顔をしている。 混乱、焦り、嫉妬、不安、憎悪…全てが彼の表情を作っていた。


「…テムズ、悪いが私はロンドンに帰る気はない。 シュパイヤーの家とも、アーノルドの家とも絶縁させてもらう。 私は日本で…愛しいタツキの傍で、一生生きていくことにした」


  撫子は、はっきりそう言った。その目に迷いはなかった。


「…撫子、お前…」


  達樹はいささか動揺していたが、撫子の顔を見て微笑んだ。


「…こんな俺でいいなら、な」

「何を言うか」


撫子も笑った。


  しかし、テムズには撫子のその微笑の理由が分からない。


「…なぜ…何故、僕じゃない?僕はこんなにモニカを愛しているのに……」


  そう何度も呟きながら、だんだんテムズは両手で頭を抱えて変なうめき声を出し始めた。




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