学校の階段!?

もう、戻れない・・・。

9

  中庭に出た達樹と桜儚は、坂下と白井に遭った。


「坂下さん、白井さん!!健と撫子が…」

「分かっておるよ、達樹君」

  あたふたとする達樹の頭を坂下は優しく撫でた。 いつもの坂下だったが、桜儚はいつもと違う感じを彼から受けた。


『とりあえず、あの赤茶けた髪の外人さんを元に戻せるの?』


  桜儚の問いに坂下は力強く答えた。


「健君と撫子君なら、ですよ」

「あいつらなら…?」


  白井は「はい」と相変わらず素っ気無く言った後、誰にも分からないようにつぶやいた。


「撫子様はともかく、五寸様は…健君は“アイツ”の息子ですからね…」



  一方、健と撫子はテムズから視線を逸らすことが出来なかった。 ただ、彼の変身を恐れを持ちながら見ているだけだった。

  テムズの赤茶けた髪は恐ろしい程長くなり、角と牙が生え、着ていたシャツは破れ、 そこから見える肉体がたくましい。そして、あの大きな赤と黒の羽。


「これは…」

「Satanだ…。またの名をLuciferと言って、堕天使の頭領でもある」


  撫子は知っていた。


「アイツは…テムズは黒魔術を使う為だけに、Satanに魂を売り払ったんだ…」




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