ぷひゅっ☆

「・・・ん?」


学校の階段!?

父(前編)

3


  何か踏んじゃったらしく、達樹の足元から奇妙な音がした。 おそるおそるランタンを近づけてみると・・・白色で長い髪をたらした、 150前後の人がうつぶせで踏まれていた。


「うわっ?!!!」


  達樹が慌ててどくと、その人は鼻を抑えながらむっくり起き上がった。

  何とまあ、可愛らしい少女である。しかし、その大きな瞳は瑠璃色であったり、 着ている服が平安時代の十二単のような服であったりと 「普通の人じゃねぇな、こりゃ」って雰囲気は100点満点だ。 少女は涙目で達樹をキッとにらむと、いきなり大きく右手を振り下ろした。

ぴこっ!!!!!


「いてぇっっ!!!」

  その可愛い手には不似合いなほど大きいピコピコハンマーがあった。 達樹は全力でピコピコハンマーの餌食になったのだった。



「何すんだよっ、このくそジジィ!!!!」


  達樹は頭を抑えながら少女に向かって怒った。…ん?何かおかしくないですか、達樹さん?

・・・「くそジジィ」?


「馬鹿もん!!年寄りはもっと大切に扱わぬくゎっ!!!!」


  少女はその可愛い外見と声とは裏腹にそんなジジィらしい発言をして、 もう1度達樹をピコピコハンマーで殴り飛ばした。達樹はその場に倒れこんだ。


(くっそ〜…何でこんなのが950歳なんだよぉ…?)


  そう、この白髪の美少女こそ950歳という普通なら絶対有り得ない年齢になってもしぶとく

…いやいや、ご健勝であらせられる「老師」、名を右近卿雅(うこんのきょうみやび)という。

  ちなみに「右近卿」とは昔あったという貴族の階級で、「雅」が本当の名前である。

  しかし、950歳ってあなた・・・どこぞの「大鏡」なんて古文に出てくる爺さんズも びっくりの年齢である。


「950歳までどうやって生きれるんスか?有り得ないでしょ〜?」


  初めそれを聞いた時、達樹は鼻で笑ってそう言った。するとこの外見美少女な雅は、 思いっきり達樹をピコピコハンマーで殴ったのだった。


「この小童がっ!!!わしは藤原のみっちゃんと親友なんじゃぞ?!!!」

「・・・みっちゃん?」


  どうやら、あの有名な「藤原道長」のことらしい。しかも、その話が 本当にその場にいたような口ぶりで、 だんだん己の常識が疑わしくなってきた達樹は、その時代の古文書を紐解いてみた。

  すると、何とそこにしっかり「右近卿雅」という名前があった。 しかも、記述されている彼の外見が、 自分をピコピコハンマーで殴り飛ばした美少女とぴったり一致する。


「・・・何でもありか、ここは・・・」



  達樹の呟き&ため息は作者の心にグサリと刺さった。




前ページ<=>次ページ



序章へ戻る
トップへ戻る