学校の階段!?

父(前編)

5


「さて、飯も食ったことだし!!そろそろ今日の仕事を始めるかのぅ…」


  楊枝でし〜は〜しながら、外見美少女の雅はどっこらしょと立ち上がった。


「今日は何やるんだよ?」

「…達樹は何が知りたい?」

「え…?」


  雅からの問いかけに達樹は一瞬返事をするのを忘れた。


「…達樹〜、どうしたの〜?」

「…あっ、いや…老師。一昨日、印についてやったよな?」


  雅は達樹の意外な発言に首を傾げた。


「うむ、やったが…あれがどうかしたのか?」

「…こういう…印の組み方ってあるのか?」


  そう言いながら、達樹はゆっくりと印を組んだ。 それは、自分が夢の中で見た・・・誰かのやっていた組み方だった。


  雅と健はそれを見て、固まった。


「達樹…それを何処で知ったの?」

「え?あ、いや……」

「達樹、おぬしが今組んだ印は神霊者の間ではタブーとなっておる組み方なんじゃよ」

「そうなのか?」


  達樹が健の方を向くと、健は頷いた。


「これを組むと霊界との“門”が開いちゃって、 魑魅魍魎が強い力を持った神霊者を食いつぶすっていう言い伝えがあるんだ。 だから、室町時代の応仁の乱以降、使われたことはないはずだよ」

「…健、おぬしの記憶は本当に正しいか?」


  雅のこの言葉に健はピクリとした。


「健・・・?」

「な、何でもないよっ!!じゃあ僕、お膳下げてきますっ!!」


  そう言うと、健は勢い良く蔵から飛び出していった。


「…どうしたんだ、健のやつ…?」



達樹のこの疑問はやがて、1つの確信へと変わっていく。


健の父は、この印で誰かに殺されたのではないか。



その日、歯車は再び加速して動き始めることとなる。




前ページ<=>次ページ



序章へ戻る
トップへ戻る