学校の階段!?
父(前編)
6
もう、3年前になる。
健の父、優秋は若い頃からその『力』の強さのため全国の神霊者達から注目されていた。
しかし、彼が大羽神宮へ奉公に入ったのは18歳の時だった。
実は、当時から大羽神宮の総代であった坂下は彼の『力』の本質を測りたくて
もっと昔から優秋を大羽神宮へ奉公に来るよう呼び出していたのだが、
その呼び出しは優秋の『力』をねたむ神霊者達によって尽く邪魔をされていたのだ。
しかし、そんな妨害にも負けず、優秋はその力を認められ、
1週間という短期間で1人前になった。そして、実家である五寸釘神社を継ぐことになる。
そして幼馴染であった雪葉と結婚、健が生まれた。
しかし、それから5年後。突然の事件で雪葉は他界。
「ぼくがいけないんだ…ぼくが…うわぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!」
身内だけで行われた雪葉の葬儀で、健はそれしか言わなかった。優秋は決めた。
「父さん、僕、健にこれ以上罪を背負ったまま…絶望のまま生きて欲しくないんだ。
僕が雪葉ちゃんと僕の2役をやるよ、1人で『両親』になる。
だから…神社を継ぐのは、健が立派に1人前になってからじゃ駄目かな?」
顕彰はニッコリ笑った。
「そうじゃな、健の成長が今は第一だ」
そして、優秋は「主父」になった。
幼稚園にも保育園にも行っていなかった健は、小学校入学まで毎日父と遊んだ。
「よしっ、健!!今日は『だるまさんがころんだ』をやるぞ!!」
「わ〜い♪」
たった2人の『だるまさんがころんだ』だったが、2人はとても楽しかった。
そして小学校に入学し、達樹が転校してくると…。
「ゆうしゅうおじさん!!おじゃましま〜す♪」
「達樹君いらっしゃい♪今日は何して遊ぶ?」
「きょうはね、おとうさんと3にんでかくれんぼするってがっこうできめたんだ〜♪」
「よしよし、父さんかくれんぼはお払いの次に得意だぞ?」
「あれ、おじさんはおはらいのつぎにおにごっこがとくいなんじゃ…」
「…さ、さぁ!!みんなでじゃんけんぽんだ!!」
「は〜い♪」
こんな感じで達樹が健の家に入り浸って遊んでいた。
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