学校の階段!?
父(中編)
4
その後、白井の名門家の生まれという慢心は崩れ落ちる。
優秋は1週間という異例の速さで奉公を終え、大羽神宮を出て行った。
「何故です?!何故アイツだけが?!」
当然、白井は納得がいかない。坂下は庭の手入れをしながら答えた。
「それは、君が一番よく分かってるはずだが?」
その言葉に白井は言葉に詰まった。確かにそうだ。
修行中、優秋は驚くべき力を発揮した。それには坂下を始めとする、
大羽神宮の高官達が誰もが舌を巻いた。勿論、同じ時期に奉公に入った神霊者見習い達は感心するばかり。
その中で、白井の中には強烈なライバル心が芽生えていた。
「優秋…」
優秋が大羽神宮を出て行くその日、白井は彼を呼び止めた。
「白井、また一緒に修行が出来たらいいな!!」
優秋はそんな笑顔で手を差し出した。
(・・・この男は・・・私が「絶対お前を越える」と宣言してやろうと思ってたのに・・・)
白井は、笑った。そう、不敵な笑みでも嘲笑でもなく、心から笑った。
「し、白井?!どうした?!!」
健達は白井の笑顔に驚いたが、それは優秋も一緒だった。
「い、いや・・・すまない。そうだな、また一緒に・・・お互い、最高の神霊者になれるようにな」
そして、しっかりと優秋の手を握った。
「約束だ、次に会う日まで切磋琢磨して神霊者を続けていると」
「あぁ、約束だ!!」
「感動なお話だね〜!!」
健は鼻水をグジュグジュさせながら言った。
「何か青春ドラマだなぁ…」
達樹は健にポケットティッシュを渡しながら、不思議で堪らなかった。
どうしてこんなに仲のいい二人が…。
タスケテ・・・。
「?!!」
「達樹?どうしたの?」
「…いや、何か声が…気のせいかなぁ…」
「?!!」
「達樹?どうしたの?」
「…いや、何か声が…気のせいかなぁ…」
達樹には聞こえた。はっきりと、耳に残るその声。 彼は聞いたことのない、その声を・・・。
タスケテ・・・。
ユウサント、シロクンヲ・・・タスケテ・・・。
ケン・・・。
ユウサント、シロクンヲ・・・タスケテ・・・。
ケン・・・。
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