学校の階段!?

父(中編)

8

  その日以来、白井は全く感情を表に出さなくなった。

  結婚はした、しかし政略結婚のようなものだった。

  大羽神宮で働くことになった。

  何もかもが、白井にとって無意味なものに思えていた。

  そんな時、白井はある術の存在を知る。それは禁術。

  しかし今は、その術の習得にしか興味がなかった。


(この術を・・・・・・この術を我が物にする・・・っっ!!!)


  その信念は、6年という時間をも一瞬に見せた。






「久しぶりだな」


  この男は、また何の前触れもなく突然五寸家を訪問した。


「・・・白井?!白井なのか?!!」


  優秋はその姿に驚いた。


「亡霊でも見るような目つきだな?…あぁ、私達には亡霊も慣れっこか」

「い、いや・・・久しぶり。よく来てくれた・・・」


  優秋は少し戸惑いながらも、彼を家にあげた。


「・・・どうした?さっきから態度がよそよそしいぞ?」


  お茶を飲みながら、白井は優秋の方を見た。


「・・・白井」

「ん?」

「・・・本当に、すまなかった・・・」


  そう、優秋は雪葉の件を気にしていた。あれ以来全く音沙汰がなかったのだから、無理もない。


「・・・なぁ、見てほしいものがあるんだ」

「?」


  白井のその唐突な発言に、優秋は首をかしげた。




前ページ<=>次ページ



序章へ戻る
トップへ戻る