学校の階段!?

父(後編)

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「負けない…焔、アンタには負けない…!!」

健はハッとした。

そうだ、それは自分が幼い頃、真夜中に聞いた、必死の父の叫び・・・。

そして・・・。

「爺ちゃんの言葉・・・この事だったんだ・・・!!」

これには雪葉も白井も驚いた。

「・・・どういう事です?」

「健、義父様が何か言ってたの・・・?」

健は頷く。

「爺ちゃんは…父さんの葬儀の日、誰にも聞こえないように呟いたんだ。 “世の中、思い通りに行くことなんてない”って…。それは、きっと…父さんと白井さんの事だよ…」

雪葉は微笑んだ。悲しい微笑みだった。

「・・・きっと、父さんは・・・白井さんに話したかったんだ・・・でも、やめた・・・。 それは、きっと白井さんに負担をかけたくなかったから・・・」

「…やめろ…そんな憶測、気休めにもならない…!!」

「本当の事です!!」

健は思わず大声で叫んだ。

「父さんは・・・父さんは自分から死を受け入れた!! それは・・・自分1人で焔を“闇”に還す最善の方法がそれだったからだし・・・ 白井さんの苦しむ原因が自分なら・・・それを取り除いてあげたかったから・・・」

白井はワナワナと体を震わせた。


馬鹿な・・・そんなことが・・・・・・。

私は・・・私は一体・・・。


「一体・・・何を・・・・・・?」




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