学校の階段!?
父(後編)
10
「負けない…焔、アンタには負けない…!!」
健はハッとした。
そうだ、それは自分が幼い頃、真夜中に聞いた、必死の父の叫び・・・。
そして・・・。
「爺ちゃんの言葉・・・この事だったんだ・・・!!」
これには雪葉も白井も驚いた。
「・・・どういう事です?」
「健、義父様が何か言ってたの・・・?」
健は頷く。
「爺ちゃんは…父さんの葬儀の日、誰にも聞こえないように呟いたんだ。 “世の中、思い通りに行くことなんてない”って…。それは、きっと…父さんと白井さんの事だよ…」
雪葉は微笑んだ。悲しい微笑みだった。
「・・・きっと、父さんは・・・白井さんに話したかったんだ・・・でも、やめた・・・。 それは、きっと白井さんに負担をかけたくなかったから・・・」
「…やめろ…そんな憶測、気休めにもならない…!!」
「本当の事です!!」
健は思わず大声で叫んだ。
「父さんは・・・父さんは自分から死を受け入れた!! それは・・・自分1人で焔を“闇”に還す最善の方法がそれだったからだし・・・ 白井さんの苦しむ原因が自分なら・・・それを取り除いてあげたかったから・・・」
白井はワナワナと体を震わせた。
馬鹿な・・・そんなことが・・・・・・。
私は・・・私は一体・・・。
「一体・・・何を・・・・・・?」
序章へ戻る
トップへ戻る