学校の階段!?
父(後編)
4
健は、当たり前だが物凄くたまげた表情をしていた。
『なぁ〜に?せっかくあの白髪少女から色々聞いてここまで来てあげたっていうのにその表情は?』
「来てあげたって・・・」
健は苦笑いだ。
『何よ?来ちゃ悪い?』
三つ編みの美少女は眉を吊り上げる。
「う、ううん・・・ただ・・・」
『?ただ?』
「こんな所で桜儚に会えると思ってなかったから・・・」
そして、健は照れたように笑った。その表情に思わず桜儚の顔も緩む。
『なっ・・・何よそのリアクションはーっ?!』
「え、え〜っと・・・えへへ・・・」
・・・健さん、桜儚さん?ここだけ空気甘いんですけど・・・。
「完っ全に私無視ですね?お二方・・・」
白井が怒るのも当然であろう。完全に空気が元に戻った。
『ちょっと健、白井さんかなり怒ってるじゃない?!何したのよ?!!』
「いや、多分桜儚にも怒ってるんだと・・・」
桜儚のボケに健がうまく突っ込んだ。夫婦漫才のようである。
「桐生様、あなた一体何をしにいらっしゃったのですか?」
「あっ、そうだった」と桜儚は本来の目的を思い出す。
『白井さん、アンタ勘違いしてるんじゃない?』
白井の眉がピクリと動く。
「…何を根拠に?」
『証人連れてきたのよ』
これには健も驚いた。
「桜儚、どういう事?」
『まぁ、見てなさいよ』
桜儚はそれだけ言うと、パンッと両手を合わせた。辺りが青白い光に包まれる。
「な、何これっ?!」
『私、自縛霊でしょ?自縛霊同士ってこういう事出来るのよねっ!!』
桜儚はそこまで言うと、あっという間に青白い光に飲み込まれた。
一瞬の出来事が終わると、辺りは元の色に戻る。変わった事といえば、
そこに桜儚が倒れ込んでいる事だけだ。
「お、桜儚っ?!しっかりして!!」
健は慌てて桜儚を抱き起こす。彼女はゆっくりと目を開けた。
「・・・桜儚?大丈夫?」
しかし。
「・・・健、久しぶりね」
彼女の口から発せられた声は、言葉は、彼女のものではなかった。
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