学校の階段!?
父(後編)
7
その日から、優秋は祠に出かけて調査をし始めた。
妖は“光”の世界へ来る時、必ず2つの世界を繋ぐ“道”を通ってくる。
それさえ見つかれば、後は簡単である。しかし、今回はその“道”が
どうしても見つからない。
どうやら自在に“道”を作れる妖が生まれてしまった
ようである。
「それがいるって大変なのかしら〜?」
「うん・・・“道”を作るには物凄い力がいるんだ。普通の妖なら“道”を作るだけで死んでしまう。だけど、今回は閉じられているから並大抵の妖じゃないってことなんだ」
「・・・じゃあ、ひょっとして・・・?」
「・・・このままだと、大変な事になる」
食卓で見せた彼の表情を今でも忘れられないと、雪葉は語った。
事件は、その次の日に起きた。
「・・・!!」
祠の前で、泣いている女の子を優秋は発見した。写真の子に間違いない。
「ありがとうございました!!本当にありがとうございました!!!」
両親は泣きながらお礼を言い、多額の報酬を支払ってくれた。
これで、この事件は終わった…かに思えた。
しかし、その次の日。再びあの親子が五寸釘神社にやってきた。
「娘の様子がおかしいんです」
話によると、昼間は全く活動もせず夜になると外へ出たがるそうだ。
また、喋り方もどこかの老人のような喋り方で、食べるものも以前は嫌いだった
油揚げをひたすら食べ続けるのだという。
「それは…ひょっとしたら娘さんがとり憑かれているのかもしれません」
優秋は、前回のようなあっけらかんとした笑顔は見せなかった。
彼には、その子にとり憑いているものが何なのかもはや分かっていた。
「すみません、ここからはこの子と2人にして下さい・・・」
そして、両親と雪葉はその部屋を去る。彼女は両親を別の部屋に案内する。
「・・・さて、いよいよご対面ってわけか。初めまして、妖狐“焔”?」
優秋がそう言うと、子供の口から白い煙が出てきた。
それは奇妙にうねりながら、少しずつ元の形へと達していく。
現れたのは、冷たい美しさを持つ着物姿の若い男性だった。
尻の部分に、白い毛で覆われて先が9つに分かれた尻尾が生えている。
序章へ戻る
トップへ戻る