学校の階段!?
第16章 久しぶり。
4
大羽神宮の廊下を走る4つの人影。
小さい少年、容姿端麗な美青年、金髪美少女、初老の男の順だ。
その4人は、ある部屋の前で順々に止まった。
「桜儚っ?!!!」
息も絶え絶えに、健が部屋の中に駆け込んだ。
部屋の中は大きな箱や衣装箪笥でごった返しているが、目的の少女はすぐ見つかった。
彼女は、セーラー服を着ていた。
『・・・健』
少女は、力ない目で少年を見た。
さっきまで着ていた巫女の服は、桜儚が霊力で作り出していたものだから、イメージ像である。
どこかへ消えてしまっていた。
「桜儚、撫子さんの言ってたこと・・・本当・・・?」
撫子が嘘を言っているとは思えない、しかし、桜儚の口から真実が語られるまで、信じたくなかった。
桜儚はこっくりと頷いた。
「これは・・・思っていたより、“時”は迫っていたということか・・・」
坂下はひとりごちた。健も達樹もその言葉に敏感に反応した。
桜儚が消える――ウソみたいな現実が、重みを増して迫っていた。
「ケン、オウナは大丈夫なのか・・・?」
撫子は不安を隠しきれなかった。坂下はまだ彼女に真実を告げていない。
「・・・私は・・・今まで霊を強制的に成仏させてきたから、
霊力がなくなった霊を見るのは初めてだ・・・だから、どうすればいいか分からなくて・・・」
達樹はそんな撫子に「大丈夫だよ」と微笑んで言った。
たとえどうすることが出来なくても、彼女を不安にさせたくなかった。
「・・・坂下さん」
健が口を開いた。
「首飾り、貸してください」
「どうするつもりだい?」
坂下は袖口から、先ほどの首飾りを出した。
健がそれを手に取ると、光の反射具合で翡翠が美しい虹色に輝いた。
「桜儚、これ・・・」
健は、それを桜儚に差し出した。
『・・・!!これ!!』
桜儚はどうやら覚えていたらしい。その後の言葉に詰まっていたが、
ゆっくりと手を差し伸べ、それに触れようとする。壊れ物を扱うかのように、
彼女の白い指がそっと翡翠に触れた。
その瞬間。
序章へ戻る
トップへ戻る