学校の階段!?
第16章 久しぶり。
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「・・・で、その時貰ったのがこの首飾りなんだ・・・ずっと黙っててごめん・・・」
同時刻、健は撫子と桜儚に事の真相を話し終わっていた。撫子も桜儚も相槌をうつこともなく、
ただ真剣な表情で眉間に皺を寄せて健の話を聞いていた。
すると、桜儚がハァッとため息を一つついて苦笑いした。
『何でアンタが謝るのよ、別に私・・・怒ってるわけじゃないのよ?』
「う、うん・・・ごめん」
『馬鹿っ!!だから、何で謝るのよっ!!』
「あ、こ、これは謝ったことに謝ってるわけで・・・ごめ」
『謝るなって言ってるでしょぉがぁぁぁっ!!!』
「二人とも、それ無限ループだから」
桜儚の怒りが爆発して健の首が絞まったところで撫子が絶妙なツッコミを入れた。
桜儚は『ったく・・・』と言いながら怒りを収め、健は一命を取り留めた。
「で、ケンはゲンゾウさんに渡してくれと頼まれたんだよな」
「う、うん・・・桜儚がこれを探してると思うって源三さん言ってたんだ」
そう言って、健はちらりと桜儚の顔を見た。
桜儚はもう翡翠の首飾りを手にしても稲妻が静電気のように指先から出ることはない。
それを手にして、じっとそれに視線を落している。
「オウナ、それは誰から貰ったものなんだ?」
撫子が尋ねる。しかし、桜儚は何も答えない。
「桜儚・・・お願いだ、教えてくれ。この中には、多分君へのメッセージを送り主が託してる」
健のその言葉に、桜儚はハッとした。
『う、嘘っ?!!』
「本当だよ。言霊者って言って、自分の霊力を使って物なんかにメッセージとかを託したり出来るんだ。
さっきね、僕達が見た時は『ごめんね』しか言ってなかった。
きっと封印を解かないと見れないようになってる。その時に、彼の名前がいるんだ。
僕とそっくりの顔をした・・・首にアザのある、男の子の」
健は詰まることもなく、スラスラと言ってのけた。本当は心臓はバクバク言っていて、
その男の名前を知ったらもう元通りにはならないことも知っていた。
名前を聞いたら、必然的にその男を探すことになる。でも、桜儚のためにはそれがいい。
自分の想いとは裏腹だが、桜儚のためだから・・・それで良かった。
『・・・・・・リュウ』
「え?」
『・・・リュウっていうの、そいつ・・・』
ぽつりと桜儚が呟いた。ちょっとだけ微笑んで、ちょっとだけ悲しそうに。
健と撫子は自然に顔を見合わせると、健が先に頷いた。
「分かった・・・じゃぁ、封印を解くよ」
健はそっと桜儚に近づくと、そっと顔を覗いた。その表情に、桜儚の心臓は軽く高鳴った。
健の優しいけれど、何処か大人びたそんな顔を間近で見てしまったから。
その心臓の鼓動を抑えるように、桜儚は真っ赤になった顔を伏せて
ちょうど健の心臓のあたりに首飾りを持った両手を乱暴に差し出した。
『ほ・・・ほらっ、これっ!!・・・ちゃんと、封印解きなさい・・・よ?いい?!』
健は一瞬驚いたが、にっこり笑って「ありがとう」と言った。
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