目次 > 真川流実 > 学校の階段 > 第1章 学校の階段!?第1章 出会いは始まり4
健の目の前は真っ暗だった。
「…これが…「死んだ」って事なのかな…?」 健は三途の川を探した…が、見つからない。 「ひょっとして、まだ生きてる――?!」 必死こいて明かりを探した。そして、健の目の前にひとつの光が現れる。 健はその光目掛けて走っていった。…そして、ふと気づいた。 「…人がいる…。」 そう、光の中に人間がいたのだ。健が走り寄るにつれて、その姿もだんだん近くなっていく…そして、 はっきりその姿が分かるようになった。 そこにいたのは少女だった。 たった一人、セーラー服らしきものを着て立っていた。 「…あのぉ…どうしたの?」 今まで女の子とあまり喋った事がない超純情少年健は声を震わせながら少女に尋ねた。 「…人を…探してるの…。」 少女が呟きながら振り返る。容姿はかなり麗しい美少女である。 「…でも、全然見つからないの…。」 可愛い声が寂しそうに言った。 「ぼ、僕が一緒に探してあげるよ!!だから落ち込まないで!!」 健は精一杯声にビブラートをきかせて言った。 「本当?」 「うん!!」 「…じゃあ…。」 少女はそう言うと、いきなり健の手を握った。 「えっ?!!!!!」 今までこんなは〜れむ的な事された事無い健の顔は沸騰しまくった。 その状態が暫く続いた。 「これでいいわ…第一段階終了ね。」 少女は訳の分からない台詞を吐くと、健の手を離した。 健には訳が分からない(そりゃそうだ、作者も分からん)。 「じゃあ、後は……」 そう言うと、少女はいきなり自分の顔を健の顔に近づけた。 こ、これはまさか……せ…接吻なる愛の儀式?!!!! ぷしゅぅ〜……ピー――ッッッ!!!! バッター――――ン!!!! 健は見事に鼻血で弧を描きながら後ろへのけぞって倒れた。 「…ん!!健!!しっかりしろぉっ!!」 次に健が目を覚ました時、前にいたのは達樹と天の助けのおっさんだった。 「…あれ?僕、さっきまで女の子と…」 「何だよ〜、人がせっかく心配してやってたのに夢の中でオイシイ事してたのか〜?こいつぅ〜、なかなかだな〜!!」 意識を回復させたばかりの人間に対して頚動脈を圧迫する達樹の方がオイシイ。 「ち、違うよ…夢じゃなくて…ぐふっ…」 今度は真面目に天へ召されそうである。 そんな微笑ましさ120%の光景を天の助けは笑いながら見ていた。 …彼女と共に。 「やっと出てきてくれましたか。お久しぶりです。」 『久しぶりかしら?この前会ったのが…』 「ざっと20年前ですよ?確か、ここで告白してた生徒にちょっかい出して…」 『あぁ、あれね。』 「それより、本気ですか?」 『何がよ?』 「彼の事ですよ。本気で…」 『当たり前じゃない、私はいつも本能のままに行動する女よ?』 「…彼もかわいそうですね。先輩なんかに…」 『なんかとは何よ!!失礼ね!!』 「あ、あの…おじさん?」 天の助けはふと横を見た。とっくにじゃれあいを終えて不思議そうな顔で自分を見ているスポーツ青年と、 顔が赤い眼鏡青年が並んで立っていた。 「…誰と喋ってるんですか?」 スポーツ青年は当たり前の事を聞く。 「…ど、どうしてさっきの子がここに?!!」 眼鏡青年は驚くべき発言をした。 「…お前さん、この人が見えるのかね?」 「おい、健?何処に誰がいるんだ?」 質問攻めで眼鏡少年健は少したじっとした。 「え?達樹、あの子が見えないのか?おじさんの横に立って…」 そこまで言って、健はある事に気付いた。 その少女は「立って」るのではない。「浮いて」るのだ。 そして、足の先端辺りがうっすらと消えかかっている。 「…も、もしかして…その子…」 『そうよ、れっきとした幽霊って奴。』 気が付くと、少女は健の後ろにいた。 「わぁぁぁぁっっ!!!」 健はズザー――ッッ!!って思いっきり後ろへ引いた。 しかし、その甲斐むなしく少女は健の後ろにぴったりとくっついていた。 『ちょっと!!こんなか弱い美少女に失礼よ!!』 自分で「か弱い」と豪語する幽霊少女は少し高めの地声で怒った。 「ご、ごめんごめん…でも、君はどうしてここに?」 『あ、それはねぇ…』 「おい、健?誰と喋ってるんだよ?」 幽霊少女がちびっとも見えていない達樹が健の視界を遮った。 勿論幽霊少女の方を向いていたのだが、達樹サイトでは健は壁を見ていた。 「あ、達樹…そこに女の子の幽霊がいるんだよ。だからその子と…」 健はさらりさらさらな顔で応えた。 「げぇぇっ!!またお前の『力』が発揮されてるのかよ!!」 『力?何それ?』 「あぁ、それはね…」 ぴーんぽーんぱーんぽーん。 『新入生諸君は体育館に入場してください。繰り返します、新入生諸君は…』 ジャストタイミングで校内アナウンスが流れた。 「あ!!入学式!!忘れてた!!行くぞ、健!!」 「え?あ…」 健が地球語を発する前に達樹は健の腕を掴むと全速力で走り去った。 後にはおっさんが一人ぽつんといるだけだった。 「大丈夫かねぇ、あの青年…先輩にとり憑かれるなんて…」 そう、健はやっぱり…。 「不幸な子だ。」 トップへ戻る |