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学校の階段!?

第5章 安息、そして…。

  放課後、達樹はサッカー部に助っ人へ行った。

「宇津井の奴をケチョンケチョンにしてくるからな!!」

物凄い殺気が達樹の背から感じられた。
健は笑顔で達樹を見送った―――自分の異変に気付かれぬよう。



「健君、大丈夫かね?」

坂下はちゃんと気付いていた。

「あはは〜…分かりますか〜?」

「分かりすぎるわい。『気』が消えかかっておる。まぁ、今日は負荷を消そう。」

そう言って、坂下は立ち上がった…が、健が引き止めた。

「…消さないで。続けさせてください。」

「しかし…」

坂下は言いかけた言葉をごっくんした。健の目はいつもと違って真剣だった。

「…健君は、本当に良い神霊者になれるよ。」

そう言って、かりんとうを棚から出してくれた。
しかし、健はあまり食べなかった。

「…やはり、霊力負荷は辛いのぅ。」

坂下は呟いた。自分もこんな頃があった。
  霊力負荷は霊力を戻すのには一番手っ取り早い方法である。しかし、失った霊力が大きければ大きいほど、実生活への負担は重くなる。食欲が無くなるというのが最も一般的な症状で、健は特にひどい。

「あと…3日…3日で…霊力が戻る……」

健が呟いたのに坂下はハッと我に返った。
よく見ると、健はいびきをかいて眠っている。
坂下は、そっと健に布団を掛けてやった。
そして、小声で笑いながら言った。

「安眠の邪魔しないでくださいね、先輩。」

『何だ、気付いてたの?』

桜儚がドアを通り抜けて入ってきた。

「いつからいたんです?先輩の移動だって、健君の負担なんですよ?」

『分かってるわよ!!でも…』

桜儚はぽそっと言った。

『心配なんですもの…。』

坂下はふっと笑った。

「先輩、あと3日です。あと3日で、健君の霊力は元に戻りますよ。」

『そう…あと3日。』

桜儚には、今はそんな事どうでもいいようだった。






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