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学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

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「…でも、用務員室への出入りが禁止になった理由は分かったけど、どうしてお前と桜儚さんが狙われなきゃいけねぇんだ?」

問題はそこだった。

「ん〜…それが僕にも分からないんだ…それに…」

「それに…何だよ?」

達樹が尋ねても、健はそれ以上何も言わなかった。
ただ、真剣に何かを考えている事だけは外から見ても分かった。

「…ま、そのうち分かるって。さ、帰ろうぜ♪」

健は達樹の方を見た。にっかりと笑っている。
こういう切り替えの早さが達樹の魅力の一つなんだ…と健は改めて感じた。
達樹が笑うと自然に自分も笑顔になっている。

「うん♪」



その時だった、校庭から鈍い音と悲鳴が聞こえてきたのは…。

  今度やられていたのは何故か大量の魚だった。種類もまばらである。
心臓部には全てカラスの羽がしっかり突き刺さっていた。
しかし、一つだけ奇妙な事があった。

「…鱗が無い…。」

その魚全てにあるはずの鱗は全て無かった。

「魚の鱗…か。昼間の心臓の無い猫といい、妙だよなぁ…」

「…達樹。」

急に真剣な健の声がして、達樹は一瞬戸惑った。

「な、何だ?何か思い当たる節でも…?」

「…帰ろう、今すぐに!!神社のお蔵に行こう!!」

「…お蔵ぁ?」

健はゆっくり、しかしはっきり頷いた。






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