目次 > 真川流実 > 学校の階段 > 第6章

学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

9

  あっという間に放課後になった。

健と達樹はもう帰る準備をしている所だった。もう教室には二人以外の人影も見当たらない。

「桜儚さんに逢いに行かなくて良いのかよ?」

達樹がそう聞くと、健は「逢いに行かない方が良いんだよ。」と首を振った。

「何でだ?」

「きっと桜儚、今頃坂下さんに『気』まで封印されてるよ。」

達樹の頭の上には「?」がいっぱい浮かんでいた。

「あ、えっとね…」

それを感知したのか健は説明を始めた。



自縛霊は自分が死んだ場所にずっと留まってるのが普通だよね。

それを僕達の間では『家』って言ってるんだけど、

その『家』にいる時でさえも霊は『気』を発するんだ。

そうしないと『家』が消えちゃうんだ。

だけど、今回は黒魔術師が相手でしょ?

黒魔術師は僕達『神霊者』と同じように霊の『気』を感じる事が出来る。

もし敵の狙いが桜儚だとしたら、おそらく『気』を感じて

桜儚を襲いに行くはずだ。

坂下さんは用務員室に『気』を封じ込める結界を作って

そこに桜儚を閉じ込めたはずだよ♪



長々とした説明を達樹はちゃんと聞いていた。

「健、お前…」

「へ?何?」

達樹は健の肩に手を置いた。
そして、一つため息をついて言った。

「どうしてその頭を勉強に回さないんだ…」

達樹の目は真剣だった。あはは〜、と健は苦笑いした。






序章へ戻る
トップへ戻る