目次 > 真川流実 > 学校の階段 > 第6章

学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

12

「間違いにもほどがあるだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

健はものごっつい驚いた。

「た、達樹?!よく見てよぉ〜!!」

正気にちょぴっとだけ戻った達樹は本の表紙を見た。
やっぱり『はじめての方でも大丈夫!!失敗しないおふくろの味・1』って書いてあった・・・が、その表紙がぺらっとめくれた。

『西洋黒魔術論』

ボロボロの表紙に墨でそう書いてあった。

「この表紙はカムフラージュだよ〜。」

「な…何だ〜…そうだったのか〜…」

達樹は弾けて損した…とソファーに再び腰を下ろした。

「この本によると、敵はある薬を作ろうとしてるみたいなんだ。」

健はそんな達樹の気持ちなど知らず、さくさく話を進めていく。

「薬?ホレ薬みたいなやつか?」

  達樹は小さい頃に読んだ魔法使いの話を思い出した。少女の魔女が好きな人間に飲ませようとホレ薬を作るのだが、その薬が蛙やら牛の目玉やらをごった煮したものだったのを幼いなりに「飲みたくねぇ!!」と思った。

「…うげぇ…気持ち悪いなぁ…」

とっくに目的のページを探し当てていた健は苦笑いしまくった。

「達樹、飲む物じゃないよ〜…今回の薬はまくんだ。」

「頭にか?」

達樹もかなり健のボケボケが移ってきたようだ。

「えっとね〜、頭じゃないみたいだよ〜。」

「突っ込めよ!!」と思ったのは作者だけだろうか…。
健はその部分を声に出して読んだ。

『黒魔術ニオケル薬物ノ作成法〜其ノ参拾弐・除霊薬〜

除霊薬ハ黒魔術薬ノ中デ最モ作ルコトヲ禁ジラレテイルモノデアル。

コレヲ作ルコトハ自ラノ命ヲ投ゲ出スコトデアル。

作リ方ハ細カク記スコトハ出来ナイガ、材料ハ記載スルコトニスル。

材料:魚ノ鱗、猫ノ心臓、クヌギノ葉、神霊者マタハソレノ身近ニイル者ノ髪』


記述はそこで終わっていた。

「そうか、黒魔術者は除霊薬を作ろうとしてるのか!!」

達樹は材料を聞いてピンときた。

「でも、除霊薬って何だ?」

「自縛霊やなかなか浄霊出来ない霊を強制的に消滅させたり、神霊者の霊力を封じ込めてしまう薬なんだ。」

「お、おい!!じゃあ、桜儚さんは…」

健は真面目な顔で頷いた。

「早く犯人を捕まえないと…桜儚が危ない!!」



  その頃、健の家の上に人がいた。
顔は見えないが、黒いマントをはためかせながら、ゆっくり屋根へと降り立とう…としたが、足をついた瞬間、凄まじい電撃がその人を襲った。

「…やはり、凄いな。普通では駄目という事か。」

人はそう呟くと、風と共に消え去った。






序章へ戻る
トップへ戻る