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学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

3

  壇上に上がる一人の少女がいた。

皆が彼女に視線を釘付けにしている。

しかし、彼女は緊張の色も見せず、堂々と歩いていく…。

大羽高校体育館内は好奇心一色だった。


「あれが例のクォーター留学生か…」

1年2組の列最後尾近くで達樹がぼそっと前に呟く。

「髪が金髪だね〜。」

前にいる健は驚きの目をしている。

「健、お前見る所が違うだろ…」

達樹はこんな事だろうと思った…と半ばあきらめも〜どである。

が、健は珍しく目的を思い出してそっちを見始めた。

「…ん〜、特に変わった『気』は発してないよ〜?」

暫くして、健の周りの世界が元に戻った。

「そうか…じゃあ心配ねぇな。」

達樹は健以上にほっとした。自分の不安は的外れだった。

しかし、こんな不安を感じたのは初めてだった。

(俺にも『力』が付いたのかな…なんてな。)

一人で笑いながら、達樹は壇上の金髪少女を眺めた。

ふいに少女と目が合った。

少女はニコッと屈託の無い微笑みをした。

達樹はちょっと胸が高鳴った。







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