「…と、いうわけで。今日から半年間このクラスの一員となるモニカさんだ!!皆、仲良くするよ〜に!!」
「聞いてねぇよ!!」という生徒一同の素敵なツッコミもさらりと流し、坂田先生はこほんと咳払いをした。
「え、えっと…ぷ、ぷりぃ〜ず…自己紹介って何だ?…じ、じこしょうか〜い?」
その場の空気が凍った。
と、最初にその沈黙を破ったのが金髪少女の笑い声だった。
「先生、私、日本語喋れますよ?」
「よ、よかったぁ〜!!俺、英検5級にギリギリ受かった程度で…」
坂田先生は半泣きである。
「じゃあ、自己紹介頼むよ。」
微笑みながら首を縦に振り、金髪少女は大きく深呼吸をした。
「皆さん、はじめまして。モニカ・撫子=シュパイヤーと申します。
モニカの方が本当の名前ですが、撫子の方が私は気に入っているので『撫子』と呼んでください。
半年間、みっちり日本の文化を学びたいと思います。月並みですが、どうぞ宜しく♪」
この紹介中、男子は撫子に見とれていた。かなり整った顔立ちである。
その中でも金髪にこげ茶の大きな瞳が印象的だ。
「うん、ありがとう。じゃあ撫子君の席は…」
坂田先生がそう言った瞬間、1年2組の男子から物凄い『気』が発せられた。
健はその『気』の凄さに圧倒され、達樹はちょっと退いた。
「よし、山梨の隣にしよう。委員長だしな。」
そして、男子は真っ白な灰に燃え尽きたとか尽きてないとか。
その代わり女子から物凄い殺気が発せられ始めた。
撫子は達樹の席の隣までとことこ歩いてくると、達樹に向かって再びあの微笑みをした。
「宜しくね、タツキ♪」
「あ、あぁ…」
達樹は一瞬戸惑った。そして、何故自分はこんなに金髪少女に戸惑うのか分からなかった。