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学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

6


その時、窓の外を何かが落下していった。

それは地面に到達し、鈍い大きな音がした。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

外にいた女子生徒の声がした。


「何だ?!」

返事をする間もなく、達樹と健は駆け出した。階段を降りて行くたび、だんだんざわめきが大きくなっていく。
現場に到達した時、健の脳裏に一筋の光が走った。

(何だ…この感じ…前、何処かで……)

そう思いながら群集をかき分けて中心まで進む。
そこにあったのは――猫の無残な姿だった。

「うっ…!!こりゃぁひでぇな……」

達樹はあまりの衝撃に手で口を押さえた。
猫は心臓をごっそりえぐり取られていた。
健は動けなかった。

「健、大丈夫か…?」

現場を直視し続ける健が達樹は心配になった。
すると、健はゆっくり口を開いた。

「…羽だ。」

「羽?」

よく見ると、猫の心臓がある部分にカラスの羽が突き刺さっていた。

「本当だ…。」

「ちょっと待って…確か、こういう呪いの法があったはず…」

健はそう呟くと、急に走り出した。

「あ、おい!!健!!」

達樹はその後を追った。屋上にいる人影には気付きもしなかった。



「…やはり、ここにいるんだね。『例の人』が…」

人影はそう言って微笑むと、静かにそこから離れた。

教師達が駆けつけた時、既に人影は存在しなかった。







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