目次 > 真川流実 > 学校の階段 > 第6章 学校の階段!?第6章 狙われた桜儚(前編)7
「…ふむ、それは確か黒魔術ではないか?」
用務員室で愛妻弁当を食べていた坂下は答えた。 「やっぱり…」 『健、何かあったの?』 同じく用務員室で霊力を溜めていた桜儚が尋ねた。 「桜儚さんには見せない方がいいよな…かなりグロいから。」 『…グロいならやめるわ。私、ホラー系駄目なのよ。』 「桜儚が十分ホラーな気がするけど…」 健は自分の命を消すような発言をした。 実際、半分消えかかった。 「げほっ…それで、僕が言いたいのは…」 健が酸素を吸いながら言うと、坂下は首を縦に振った。 「健君、その通りのようじゃ。」 「どういう事だ?」 達樹は話の意図が全く分かっていない。 「僕達の学校の中に黒魔術の使い手がいるって事だよ。」 「そうか…でも、おかしくないか?」 達樹は納得したような、してないような顔をした。 「どうして〜?」 「もし生徒や先生の中に使い手がいたとしたら、どうしてそいつは今になって初めてそんな事したんだ?もっと早くから始めてても良いじゃねぇか。」 「確かに、達樹君の言うとおりじゃ。…だが、これが健君に対する挑発だとしたらどうじゃ?」 「健に?」 達樹と桜儚、坂下は一斉に健を見た。 「え?ぼ、僕恨みを買うような事は何もしてないよ〜?」 確かに、健は絵に描いて額縁に入れられたくらいの『いい人』である。 「ふむ…しかし、きっと向こうから正体を現すぞい。」 坂下は胸に一物があるようだ。 「坂下さん、何か思い当たる節でもあるのか?」 達樹は察しが速かった。 「…いや。健君、これから暫くの間霊力を解放してはならぬぞ。」 『えぇっ?!!ちょっと待ちなさいよ坂下!!また私の野望は中断なの?!』 桜儚の『気』が紫色になった。 「仕方ないですよ、先輩。健君と先輩の安全の為です。」 坂下はそう言うと、休霊地となっている校舎内の札を全て念力で剥がした。 『ちょっと!!何するの…』 そう言いかけた瞬間、桜儚は階段へと飛ばされ、姿を消した。 「ですから、先輩の安全の為ですって。」 「桜儚の…?」 健は坂下の顔を見た。彼は桜儚をなだめながら、静かに笑っていた。 序章へ戻る トップへ戻る |