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学校の階段!?

第6章 狙われた桜儚(前編)

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「…ふむ、それは確か黒魔術ではないか?」

用務員室で愛妻弁当を食べていた坂下は答えた。

「やっぱり…」

『健、何かあったの?』

同じく用務員室で霊力を溜めていた桜儚が尋ねた。

「桜儚さんには見せない方がいいよな…かなりグロいから。」

『…グロいならやめるわ。私、ホラー系駄目なのよ。』


「桜儚が十分ホラーな気がするけど…」


健は自分の命を消すような発言をした。


実際、半分消えかかった。


「げほっ…それで、僕が言いたいのは…」

健が酸素を吸いながら言うと、坂下は首を縦に振った。

「健君、その通りのようじゃ。」

「どういう事だ?」

達樹は話の意図が全く分かっていない。

「僕達の学校の中に黒魔術の使い手がいるって事だよ。」

「そうか…でも、おかしくないか?」

達樹は納得したような、してないような顔をした。

「どうして〜?」

「もし生徒や先生の中に使い手がいたとしたら、どうしてそいつは今になって初めてそんな事したんだ?もっと早くから始めてても良いじゃねぇか。」

「確かに、達樹君の言うとおりじゃ。…だが、これが健君に対する挑発だとしたらどうじゃ?」

「健に?」

達樹と桜儚、坂下は一斉に健を見た。

「え?ぼ、僕恨みを買うような事は何もしてないよ〜?」

確かに、健は絵に描いて額縁に入れられたくらいの『いい人』である。

「ふむ…しかし、きっと向こうから正体を現すぞい。」

坂下は胸に一物があるようだ。

「坂下さん、何か思い当たる節でもあるのか?」

達樹は察しが速かった。

「…いや。健君、これから暫くの間霊力を解放してはならぬぞ。」

『えぇっ?!!ちょっと待ちなさいよ坂下!!また私の野望は中断なの?!』

桜儚の『気』が紫色になった。

「仕方ないですよ、先輩。健君と先輩の安全の為です。」

坂下はそう言うと、休霊地となっている校舎内の札を全て念力で剥がした。

『ちょっと!!何するの…』

そう言いかけた瞬間、桜儚は階段へと飛ばされ、姿を消した。

「ですから、先輩の安全の為ですって。」

「桜儚の…?」

健は坂下の顔を見た。彼は桜儚をなだめながら、静かに笑っていた。







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