学校の階段!?

第7章 狙われた桜儚(後編)

10

  達樹と撫子が戻ってきた。達樹の隣には坂下もいる。

「達樹君がこの娘さんからわしのいる場所を聞き出してなぁ…。」

やはり、撫子は坂下が神霊者であると知っており、彼の力を封印していた。

『で、アンタ私を除霊すんの?』

桜儚は少し挑発的に言ってみたが、撫子はじっとしていた。

「…確かに、お前は"汚れた亡霊"だ。しかし、お前はケンに必要とされている。この世に存在する理由があるのだ。ひょっとしたら、お前は"汚れ"ていないのかもしれぬ。」

健は真っ赤な顔で照れ笑いし、桜儚は猛反発した。
金髪娘はそれらを無視し、坂下の前に歩み寄った。

「私を殺してくれ。」

「な…!!」

健や達樹、桜儚は動揺したが、坂下は撫子の目をじっと見ていた。

「何故だね?」

「私は任務を遂行出来なかった。我がシュパイヤー家では、"失敗は死"だ。」

撫子は坂下から目を逸らそうとしなかった。

「お前さんはそれで良いのかね?」

「二言は無い。」

「そうかね、では…」

坂下はニコニコしながら隣を見た。

「お前さんを必要としてくれておるこの子はどうなのかね?」

「「『へ?」」』

三人(うち一人幽霊)はハモった。

「馬鹿を言うな、私を必要としてくれている人など…」

撫子は鼻で笑ったが、坂下は真剣な顔で続けた。

「お前さんを必要としていないならば、どうして彼はお前さんを助けたのかね?」

「そ、それは…私がいないと貴方の場所が分からなくな…」

「そんな訳無いじゃろ!!」

坂下はぴしゃりと言い放った。健達はこんなに厳しい坂下を初めて見た。

「達樹君にはわしの居場所を聞出すことなど頭には無かったよ、あの時はな。」

「では…ではタツキはどうして私を助けた?!」

撫子は声が震えていた。

「それはな…」

坂下が言葉の続きを言おうとしたが、達樹が二人の間に割って入った。
達樹は真剣な目をしながら撫子に近づいていく。




前ページ<=>次ページ



序章へ戻る
トップへ戻る