学校の階段!?

第7章 狙われた桜儚(後編)

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――僕は、今、何をしているんだろう。


何だか気分がふわ〜っとして、空を飛んでるみたいだ…。

健は薄れ掛けている意識の中で虚ろにそう考えていた。

自分の視覚も聴覚も当てにはならない。何も見えないし、聞こえない。

…達樹や撫子さんはどうしたかなぁ…。

坂下さん、何処に監禁されてるんだろ…早く見つけなきゃ。

頭にはそんな人々の顔が思い浮かんでいた。
しかし、一番大切な人の顔は思い浮かんでいない。

…あれ?もう一人いたはずなんだけどなぁ…忘れちゃいけない人。

思い出そうとするが、意識ばかりがどんどん遠のいていく。

僕、もう駄目なのかなぁ…?

そう思った時、急に聴覚が元に戻った。
聞こえてきたのは激しい風の音と闇が広がる音、そして。

「けー――――――んっっっ!!!!」

何処かで聞いた事のある、綺麗な声……。

…お…うな……?

健の口がそう動いた瞬間、その一瞬だけだが風がやみ、三つ編みの少女がその中を通り抜けて健の胸に飛び込んできた。
桜儚は目をつぶり、健を優しく抱きしめた。
勿論、実際に健に触れる事は出来ない。しかし、健はその感触をはっきりと感じた。

「…桜儚?どうして……」

次第に意識が戻ってきた健は何が起こっていたか分からない。
ただ、今自分は三つ編み少女の幽霊に抱き締められているという事だけは分かっていた。
少しだけ頬が熱かった。

「お、桜儚…?」

『…この…馬鹿健っっっ!!!!!』

「…はい?」

予想外に怒られて健は戸惑った。

「え、えっと…怒ってる?」

『あったりまえでしょうが!!最終奥義だか何だか知らないけど、達樹君や撫子殺そうとして…』

「僕…使ったの?全浄輪廻…」

流石に健はびびった。

『そうよ!!まったく、これだから……』

そこまで怒りをぶちまけると、桜儚は急に下を向いた。

「お、桜儚…?どうし……」

健は口をつぐんだ。もう一度上げた桜儚の顔は涙でぼろぼろだった。

『…これだからアンタは馬鹿なのよっっ!!私なんかどうなってもいいでしょうが!!』

健は一瞬キョトンとしたが、すぐに優しい顔で首を横に振った。

「どうでもいい訳ないじゃない。…桜儚は、僕の大切な人だよ。」

『健…』

桜儚の頬は真っ赤になった。健の笑顔を見て更に赤みは増した。

『…まったく、やっぱり馬鹿ねっっ!!』

ぷいっと横を向いて言う桜儚が何だか可愛かった。

「桜儚。」

『な、何よっっ?!!』

「ありがとう、僕を止めてくれて。」

健はニコッと笑った。桜儚はまた横を向いてしまったが、その顔は笑顔だった。




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