学校の階段!?

第8章 衣替えと栗羊羹

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「……えぇぇぇぇっっっっっ?!!!!!!本当ですかぁっ?!!!」

  健はいつもの通り緑茶を畳にぶちまけておったまげた。 その声に賑やかだった漫才トリオ(坂下命名)もその場に静止した。

「…ど、どした?健?」

おそ〜るおそる達樹は動いてみる。 健は嬉しさ半分、困ったよ達樹〜半分な顔をしていた。

「坂下さんが…」
『坂下がど〜したのよ?』

達樹ではなく、桜儚が合いの手を入れる。

「…僕達を夏休み大羽神宮に誘ってくれたんだよ〜。」

ぽつりと健は言った。

「ほ、本当なの?!ケン!!」

真っ先に健に飛びついてきたのは撫子だった。

「本当だよ〜!!」
「やったじゃない!!これでケンもイチニンマエだね!!!」

二人は手を取り合ってぴょんぴょん飛んでいる。 何が何だか分からない上、手を繋いでいる二人を見て達樹はムスッとした。

『健、撫子。アンタら二人で盛り上がるんじゃないわよ。』

低〜い、ドスのきいた声が部屋中に響き渡り、跳躍は止まった。

「わしから説明しますよ、先輩。」

ニコニコしながら坂下が栗羊羹を切って運んできてくれた。



「ふぇ、ほ〜ひゅ〜ほろらんら?」
「栗羊羹食べちゃってから喋ろうよ〜、達樹〜。」

健が笑いながら焦る達樹を制した。達樹は物凄い勢いで栗羊羹を砕くと、ごっくんと飲み込んでお茶で一息ついた。

「で、ど〜ゆ〜事なんだ?」

さっきの宇宙語を自ら翻訳してくれた。

「うむ。」

こほん、と咳払いして坂下が話し始めた。

「普通神霊者達は、ある一定の霊力になると大羽神宮へ1ヶ月間奉公に出る。
その奉公が終わると、神霊者は正式に神主の資格を与えられるのじゃよ。」

「その一定の霊力になったのはどうやって分かるんだ?」
「近くにいる神霊者が計るんだ。」

答えたのは栗羊羹を楊枝で刺そうとしている健だった。

「悪いが、この前の撫子君との戦いで計らせて貰ったんだよ。」

あの場にいなくても霊力を全て感じ取れるなんて坂下はやっぱり凄い。

「偶然とはいえ、大人でも使えぬ者が多い『全浄輪廻』をあれほどまでに放つ事が出来た健君はもう 奉公に入って良い時期じゃ。」

  健はあの時どうやって自分があの技を出したか覚えていない。 ただ、気付いたら闇が広がっていた――それだけだった。

「そっか〜。やったな、健!!」

達樹は自分の事のように喜んでくれた。それが嬉しくて、健は微笑んだ。

「でも、寂しいな〜…健と1ヵ月も会えねぇのか…」
「?何言ってるの?達樹も、撫子さんも、桜儚もだよ?」


・・・・・・。


「「『はぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ?!!!!!』」」


驚きの声が用務員室中に混声三部合唱して、こだまして帰ってきた。


「お、俺霊力なんか無いぞぉっ?!!!」

達樹はちゃぶ台を拳で叩いた。

「わ、私は宗派が違うではないかっ?!!」

撫子は楊枝に突き刺さった栗羊羹を危うく落としそうになった。

『私、自縛霊よ?!あんな所行ける訳無いじゃない!!即成仏よ!!』

桜儚は健の首を怨霊ぱわ〜で絞めまくった。

「まぁまぁ。わしの話はまだ終わっておらんよ。」

既にエクトプラズム吐き出しちゃってる健を寝かせ、坂下は全員に着席を促した。 外では雨が降り始めていた。




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