学校の階段!?

第8章 衣替えと栗羊羹

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「さて、まず撫子君からいこうかの。」

先ほどの騒乱も落ち着き、坂下は口を開いた。

「撫子君は黒魔術の使い手じゃ。それは分かっておる。そして、黒魔術と神道は普通合い交わる事を嫌う。」
「では、どうして―――?」

「君は、本当の黒魔術師にはなれんよ。」

「…どういう事だ?」

撫子の表情が途端に険しくなった。

「それは、君に神道の血が流れておるからだ。君のお祖母さんは、神霊者だね?」

撫子はしばらく無言だった。ただ、視線を坂下からゆっくりと外しただけで、後は何も変化はなかった。

「…確かに、私の祖母はある神社で巫女をしていた。しかし!! それと黒魔術師になる事は関係無いと、お爺様は…!!」

「確かに初期は関係ない。 しかし、仮に神道の血の方が黒魔術の血より濃く君に受け継がれていたら関係おおあり、じゃ。 もし一人前の者が宗派の違う術を使うと、その者は…確実に寿命が縮み、死に至る。」

これには、その場にいた全員が凍りついた。

「…で、では…私は…死んでいたかもしれないというのか?」

撫子は震えていた。何度手で掴んで押さえても、震えは止まらなかった。




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