学校の階段!?

第8章 衣替えと栗羊羹

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「おぬしが使う札術(ふじゅつ)は元々神道にしか使えんのじゃよ。」

「お爺様は…何も教えてくれなかった。お父様も…。お婆様しか…何も…何も教えてくれなかった…。 それでか…。」

ふふ、と撫子は自嘲的に笑った。

坂下はそんな撫子の頭をくしゃりと撫でた。

「大切にされとるの、撫子君は。」

撫子は不意に泣けてきた。厳しかった祖父や父を思い出した。

「もう、あの家には帰れない…。私は任務を失敗し、神霊者になろうとしている“反逆者”のようなものだ。」

撫子はきっと顔を上げ、坂下の顔を見つめた。

「祖父や、父は…私が倒す。祖母の血を受け継いだ、神霊者の“私”の手で。」

何処かで雷鳴が聞こえた。
雨はだんだんと強さを増していった。
坂下は、笑わずに深く頷いた。




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