学校の階段!?
第8章 衣替えと栗羊羹
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「さて、残るは先輩だけと…。」
『私は理由なんか知らなくていいわよ、行けるんなら。』
あっさり返答されて、健達は「えぇ〜っ?!」と合唱した。
『何よ、アンタらが知りたいだけでしょ?
私は知らなくて良いから、アンタらも知らなくて良いのよ!!分かった?!』
図星なのと逆らえないので、3人は黙った。
坂下はニコニコしながら、詳しい日程はまた今度説明すると言った。
「ほれ、もう遅いし、今日は帰りなさい。」
確かに、用務員室の時計はもう6時を回っていた。
健と達樹、撫子は用務員室の通用口を出た。
雨はいつの間にか止んでいた。
『で、私は本当に行けるんでしょうね?』
嘘だったら栗羊羹ごとあの世行きよ、というオーラで桜儚は尋ねた。
勿論ですよ、と坂下は笑った。
「健君の今の霊力なら1年先輩が憑いてても余裕です。」
『でも、私は30分したら階段に連れ戻されるのよ?
いつもは2分くらい健にとり憑いて、ずっと『休霊地』の札にいるから大丈夫だけど。』
「その札なら、ちゃんと神宮内に貼ってありますって。」
それなら良いか…と桜儚は納得しかけたが、ふと気付いた事があった。
『大羽神宮ってここから何分くらいで行けるのよ?』
「1時間ですよ?」
知らないんですか?という坂下の言葉をかき消して、桜儚は叫んだ。
『行く前に連れ戻されるでしょうがぁっっ!!!』
まぁまぁ、と坂下は笑顔でなだめた。
「じゃあ…解いちゃいますか、呪縛。」
『…は?』
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