学校の階段!?
第9章 小村雑貨店
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「許婚ぢゃったからなぁ…」
「い、い、い、い、い、い、い、いいいいいいいいいいいいい……」
健は「い」の連発しか出来なかった。
「いいな、いいな、いいな、いいな、いいな……」
達樹は健よりちょっぴりマシだったが、やはり何だか微妙な連発だった。
「二人とも落ち着かんか…」
源三はまぁまぁ、と立ち上がって絶叫する二人をなだめた。
「確かに桜儚とは許婚ぢゃった。が、わしと奴はどちらかというと悪友での。
よく二人で悪さをしたもんぢゃよ。奴には恋愛感情を抱かなかったのぅ…」
源三はそう言いながら目をつぶり、顎を上げた。
健と達樹は自然と話に聞き入っていた。今の桜儚を見ていれば源三の話は納得出来る。
だが、健は話の内容よりも自分がどれだけ桜儚の事を知らないかという思いで胸がいっぱいだった。
そして…源三には無い桜儚への恋愛感情を自分が持っていると言ったら、
源三はどう思うだろうか…そうも思っていた。
「それにな、奴もわしを恋愛の対象としては見ておらんかった。ただ一人、アイツを除いてはな……」
「アイツっっ?!!!」
バンッッッ!!!と健はちゃぶ台を叩いて立ち上がった。
さすがに、これには源三も達樹も驚いた。
「ど、どうしおった?」
「……健?」
ハッ、と我に返った健は静か〜に座った。
「…いや、ちょっと…気になって……」
そして、すいません、と軽く謝る。
源三は明らかに怪しい健の行動を微塵にも気にかけていないように話し続けた。
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